陸路を進む
救命ボートを降りて
新大陸に上陸してから半年
汗ぶったらして 熱帯の道を歩いていたら
突然、進路が絶たれた
ひと月かけて 崖の下から
やっと新しい道を見つけた
最初は歩きやすかったけど
気が付けば今は極寒の地だ
激しい風が頬を叩く
僕は歩き続けるしかない
立ち止まったら、野垂れ死にだ
死ぬまで 歩き続けるしかない
自分で選んだ道だから
救命ボートを降りて
新大陸に上陸してから半年
汗ぶったらして 熱帯の道を歩いていたら
突然、進路が絶たれた
ひと月かけて 崖の下から
やっと新しい道を見つけた
最初は歩きやすかったけど
気が付けば今は極寒の地だ
激しい風が頬を叩く
僕は歩き続けるしかない
立ち止まったら、野垂れ死にだ
死ぬまで 歩き続けるしかない
自分で選んだ道だから
八ヶ月の航海を経て
救命ボートは新大陸に上陸した
そこは、夢の楽園ではなかったけれど
この地を踏みしめて生きて行こうと思う
夢は描くものではなく
この手で造り上げるものだから
ここから新たなスタートを切り
ここから今度は陸路での
新たなる旅が始まる
ハラマキは転職してゾウキンになった
ハラマキはいつまでもハラマキではいられない
くたびれてきたら引退だ
でも
ハラマキはゾウキンになって立派に働いている
汚れる仕事だけど、役に立っている
僕はハラマキのように生きたいと思った
まだ暑かった夏の日
僕は救命ボートに乗って
大海原へ漕ぎ出した
あれから数ヶ月
今は極寒の海の真っ只中
水面には霧が立ち込め
辺りは何も見えない
本当に新天地に辿り着けるのか
方角は間違ってないか
食糧は間に合うか
ときおり不安になる
でもあきらめるわけにはいかない
自分を信じて
前へ進むしかない
力の限り
漕ぎ続けるしかない
俺は決めた
救命ボートに乗る
最後のチャンスに賭けることにした
ただ心残りは
母船の最期を見届けられないこと
そのお役目は、別に
俺じゃなくてもいいのだ
せいいっぱいの食糧と餞別をもらって
俺は救命ボートに乗る
珍しく、職場の飲み会があった
俺は、最後の晩餐のつもりで出席した
過去に同僚を送り出したときのように
心残りが ないわけじゃない
若者たちは、にぎやかに談笑している
先人の思いを、後進が必ずしも理解しているわけではない
それでも、彼らなりにうまくやっていくだろう
世代交代とは、そういうものだ
やっぱり、来てよかったな
私にとっては、これが最後の晩餐
もう無いと思っていたけれど
4度目の救命ボートがやってきた
定員は100名
年寄りが優先だ
「年齢順に、さあどうぞ乗ってください」
上から数えれば、確実に俺もその中に入る
乗るべきか、乗らざるべきか
悩めるうちは、まだいい
ぐずぐずしていると、肩を叩かれ
背中を押される
乗るべきか、乗らざるべきか
一年前に出発した救命ボートのうち
新天地に上陸できたのは半分だけ
波はますます荒くなっている
乗るべきか、乗らざるべきか...
業績不振の責任をとらされて
日本人の社長はクビになった
代わりに青い目の社長が乗り込んできた
さあ、これから厳しくなるぞ
防波堤は崩れた
直接、大波が押し寄せてくる
濁流が渦を巻いて流れ込んでくる
もう逃げ場は無い
俺たち、流されずに耐えきるか
俺たち、流されて消えるのか
それとも、村全体が崩壊してしまうのか
いま、防波堤が崩れた
またかよ。
三期連続で ボーナスカットだ
いったい いつになったら戻るのか
本当に いつか戻るのか
もしかしたら...
不安が頭をよぎる
でもまだ ましな方だ
仕事があるだけ よしとしよう
外はまだどしゃ降りだ
そしてまだ 傘がある
傘がこわれるのが先か
雨が上がるのが先か
持久戦は続く
止まない雨は無い、と言うけれど
梅雨が明けなかった年もある
このまま 夏が来ないまま
秋の長雨に突入し
台風までやってくるかも
疑心暗鬼は続く
とりあえず 今は
傘がある
噂によれば
食糧補給が絶たれたらしい
通信不鮮明につき
信憑性は定かではないが
今入った情報はこれだけ
このまま軍と行動を共にし
玉砕するか
あるいは降伏する準備も
すすめておいた方がよいだろう
悪い噂が
噂のままで終わるといいのだか